レオロジーなんかこわくない! 数式のないレオロジー入門(第4版)

上田レオロジー評価研究所 代表 上田 隆宣 氏

構成

B5判並製本 317頁

分野

生産マネジメント > 生産工学

価格

55,000円 (税抜 50,000円) 2点 在庫あり

商品説明

-基礎から学ぶ、レオロジーの徹底解釈- 【図表に親切な解説付!】

★ 大好評、初版から10年。ついに第4版を発刊! 図表の追加・本文を加筆し、さらに約1章分もボリュームUPしました!

★ 初心者からベテランまで、総勢約6,500人が聴講した内容を書籍化!  ((( すぐにレオロジー測定がしたくなる )))

発刊にあたって

<第4版:発刊にあたって>

 2006年の初版から10年目に第4版を発刊することになりました。
 これほど長い間皆様に読まれるとは想像もできず、講義を聞いた人も6500名を超えた位になりました。第3版の発行は2011年でしたので現在の仕事を始める前で会社員との二足のわらじでしたが、2013年に日本レオロジー学会の会長に就任し、会長としての世の中への恩返しを第2の人生で行うために、2014年に独立して上田レオロジー評価研究所の代表として、今まで以上に初学者のためのレオロジー入門講座に磨きをかけてきました。

 そのような状況の中で廃刊ではなく第4版の依頼を受けたことは大変幸せに思います。レオメーターを直ぐに触れる環境の中で便利に使えるようになった装置をより広く使ってもらいたいということから、過去の講座で重要視していた古い測定経験の継承というような色合いを少なくして、現在の環境で直ぐにでも使えるようにするという方法に変化してきています。

 レオロジー討論会と関連深い日本化学会のコロイドおよび界面化学部会の副部会長と日本レオロジー学会の会長を同じ時期に経験したことから、化粧品業界をターゲットとした感触とレオロジーを結びつけるサイコレオロジー研究会の設立、希薄溶液で起こるレオロジー現象を対象にした希薄溶液の流動学研究会の設立など分散系を中心にしたレオロジーに前にも増して軸足を移した活動を続けている現在、第4版となるこの本が食品分野、医療分野など従来関連性のない分野の人たちがレオロジーを始めるきっかけになれば存外の幸せです。

 第4版ではデータも最新となり、大幅に書き足したことで、初学者が少し興味を持って次の段階に進む時にでも役立つようにしてあります。最後に10年もの間、根気強く出版、講演の支援をしてくださったサイエンス&テクノロジー社に感謝の気持ちでいっぱいです。

2016年 上田 隆宣 
 

内容紹介

1.はじめに

2.レオロジーとは?
 【レオロジー測定、解析の意味】
 【レオロジー(Rheology)】
 【レオロジーとは?】
 【日本でのレオロジー研究】
 【レオロジーの学問分野】
 【レオロジーの現象論的な目的】
 【時間温度換算則】
 【観測のタイムスケール】
 【デボラ】
 【デボラ数】
 【分析化学とレオロジー】
 【レオロジーの検知能力】
 【レオロジーはおさわりの学問】
 【さわるという事】
○【ビールCM】
 【おさわりの学問の必要性】
 【占い師の話】
 【相談に来るとき】
 【レオロジーは触った感覚の定量化】
 【高分子構造を覗く(溶液)】
 【ゲル化】
 【高分子を覗く(固体)】
 【粘弾性モデル】
 【弾性(フックの法則)は小学4年生で習う】
 【粘性(ニュートンの法則)大学卒業まで習わない】
 【塑性】
 【等価回路(なぜ電気回路と同じ)】
 【剪断(せんだん)と引っ張り】
 【マックスウェルモデル】
 【フォークトモデル】
 【静的測定と動的測定】
 【粘弾性とは】

3.静的粘弾性
 【静的粘弾性測定】
 【液体測定治具】
 【コーンプレートのせん断速度均一性】
 【B型粘度計】
 【E型粘度計】
 【LSV(Low shear viscometer):R型粘度計】
 【レオメーター】
 【回転粘度計の原理図】
 【治具の選択】
 【レオメーターの測定範囲】
 【応力制御型レオメーター】
 【ストレスレオメーターMCR 300】
○【MCR 501】
 【キャピラリーレオメーター】
 【ストークス粘度計】
 【分散系の流動曲線と粘度計の測定範囲】
 【分散系の流動曲線】
 【なぜ対数なのか?】
 【定常流動曲線】
 【流動の種類】
 【充填形態の変化】
 【聖ジェンナーロの奇跡】
○【非ニュートン流動】
○【ダイラタンシー】
○【ダイラタンシーと防弾】
 【流動方程式】
 【ニュートン流動(Newton flow)】
 【ビンガム流動(Bingham flow)】
 【オストワルド流動(Ostwald flow)/べき乗則】
 【拡張オストワルド流動(Herschel-Bulkleyの式)】
 【Cassonの式】
 【Casson降伏値とCasson粘度(残留粘度)】
 【√S=a√D+b】
 【演習1 Casson Plot】
 【E型粘度計を利用したCasson Plotの注意点】
 【橋梁用塗料の微粒化粘度の検討】
 【食品は分散系である】
 【マヨネーズのCasson Plot】
 【ストレススイープによるマヨネーズの測定】
 【発条緩和法(LSV)】
 【建築用塗料でタレ性と流動曲線】
 【自動車用塗料の低剪断粘性挙動】
 【Micro gel粒子によるレオロジー制御】
 【定常流測定による様々な試料の測定結果】
 【ケチャップのレオロジー測定】
 【乳化とレオロジー】
 【HLB 9.3】
 【HLB 9.9】
 【HLB 10.5】
 【HLB 11.1】
 【HLB 11.7】
 【HLB 12.0】
 【HLB 9.9 と12.0】
 【乳化安定性評価】
 【引っ張り試験】
 【引っ張り試験結果のパターン】
 【クリープ測定】
 【静的粘弾性測定(クリープ測定)】
 【演習2 クリープ測定】
 【クリープ回復】
 【クリープ曲線の解析】
 【クリープ測定での液体の応答】
 【クリープ試験(Creep Test)】
 【応力緩和測定】
 【静的粘弾性測定(応力緩和測定)】
 【応力緩和解析】
 【演習3 応力緩和測定】
 【応力緩和 Stress relaxation】

4.動的粘弾性
 【動的粘弾性測定】
 【自由減衰法による動的粘弾性測定】
 【強制振動による動的測定】
 【歪みγ(t)= sin ω t と考えた場合】
 【歪みをγ(t)= cos ω t とすれば】
 【粘弾性測定のマンガ的理解】
 【EとGの関係】
 【E=3Gとなることで】
 【G*=G+iG"】
 【マックスウェルモデルでの動的粘弾性】
 【演習4 波形とリサージュを描く】
 【演習5 波形とリサージュを描く(線形と非線形)】
 【熱硬化型塗料の粘弾性変化】
 【粉体塗料硬化過程の測定】
 【昇温速度による粘弾性変化】
 【昇温速度の影響】
 【バターの温度分散とぬりやすさ】
 【塗膜の動的粘弾性測定】
 【一般高分子での動的粘弾性】
 【tanδ曲線の形状】
 【貯蔵弾性率Eの形状】
 【結晶構造の影響】
 【相溶性の影響】

5.FTRM
 【分散系の測定】
 【RCP(raised consine plulse)法】
 【RCPの応答波形】
 【FT-RM(Foulier Transform Rheomerter)法】
 【正弦合成波の例】
 【合成波形の例】
 【RCPとFTRMの結果比較】
 【状態変化過程におけるFTRMの有意差】
 【自動車用中塗り塗料の硬化挙動】
 【内部応力連続測定方法】
 【内部応力の計算式】
 【昇温硬化、放冷過程における内部応力の変化】
 【合成曲線(マスターカーブ)】
 【合成波による測定結果(PET FILM)】
 【活性化エネルギー値】
 【活性化エネルギーの算出】
 【Eaの実測値】
 【活性化エネルギーと架橋構造】
 【チッピングと活性化エネルギー】
 【エポキシ樹脂の不均一構造】
 【エポキシ樹脂 AFM観察】
 【エポキシ樹脂のEa】
 【接着剤の温度分散】
 【密着性と粘弾性】
 【電磁誘導式レオメーター】
 【分散系の親和性と周波数分散】
 【分散系の親和性と構造回復挙動(at 0.1Hz)】
 【親和性による構造の差異】
 【動的粘弾性の周波数分散測定】
 【角速度】
 【マヨネーズの動的測定】
 【応力制御レオメーター】
 【応力制御レオメーターによるマヨネーズ測定】
 【応力制御と歪制御の比較(弾性率)】
 【定常流測定、歪み制御動的測定、応力制御動的測定の比較(粘性率)】

6.塗料のレオロジー
 【塗料工業の特徴と物性】
 【塗料の組成】
 【塗料製造】
 【塗料の種類】
 【作業性とは? 膜物性とは?】
 【塗膜の物性値】
 【塗料分野での物性の考え方】
 【塗料への要請と問題点】
 【環境変化 要求性能変化】
 【JIS 変更】
 【剪断速度 or 角速度】
 【流動方程式】
 【高分子の溶液粘度】
 【分散体濃度による分散系の粘度】
 【アインシュタインの式】
 【DSA(Dynamic Spring Analysis)】
 【昇温測定でのEr】
 【恒温測定とEr】
 【水性自動車中塗り塗料の硬化過程の粘弾性変化】
 【FDOM(Free Damping Oscillation Method)の概要】
 【測定データの解析法】
 【自動車用水性中塗】
 【ガラス転移温度(Tg)】
 【TMA(Thermal Mecanical Analysis)=熱的機械分析侵入法(penetration)】
 【TMA(Thermal Mecanical Analysis)= 熱的機械分析引っ張り法(Extension)】
 【引っ張り法(Extension)】
 【架橋密度】
 【膨潤引っ張りによる架橋密度の測定】
 【塗膜の動的粘弾性測定】
 【tanδ曲線の形状】
 【貯蔵弾性率Eの形状】
 【PWCとR/MFの影響】
 【顧客からの要望】
 【クリヤー塗料のTMDSC曲線】
 【温度変調DSC-TMDSC】
 【Kinetic成分除去方法の検討】
 【クリヤー塗膜140℃×20分焼付】
 【DSCによる塗膜測定】
 【促進耐候試験前後の塗板Tg変化】
 【DSC測定Tgと動的粘弾性測定Tgの比較】
 【微小硬度計フィッシャースコープH100型】
 【架橋密度相関】
 【動的接触角測定原理】
 【グリセリンの粘度 VS 接触角の速度依存性】
 【汚染性(未処理塗膜)】
 【汚染性(温水洗浄後)】
 【ピックアップ性】
 【擦り傷試験 A法】
 【小型洗車機を利用したB法と目視】
 【粗さと光沢保持率】
 【Eaと光沢保持率】
 【ビッカース硬度計の解析】
 【すり傷性とクリアー物性】
 【クリーム類の塗り心地】
 【オールインワン製剤】
 【シャアシニングと感触】
 【官能評価とTI値】
 【内相油の量の検討】
 【内相油の光学顕微鏡観察】
 【動的粘弾性のひずみ分散/線形性】
 【油量と官能評価】
 【撹拌力と流動曲線】
 【撹拌力と官能評価】
 【レオロジー何が測定できるのか?】

○7.最近の測定法とルーチン測定のすすめ
○【最近の分散系測定を考える】
○【MCR501でのひずみ分散】
○【MR500でのひずみ分散】
○【ひずみ分散の装置間差異】
○【コーンスターチ/水 & 小麦粉/水 ひずみ分散 25℃】
○【コーンスターチ/水 周波数分散 at 25℃】
○【Stress Sweep】
○【Frequency Dispersion】
○【ステップフロー測定 1/s-1000/s-1/s】
○【Flow Curves】
○【GF105 流動曲線の経時変化】
○【GF105 周波数分散の経時変化】
○【GF105 ひずみ分散の経時変化】
○【GF105 粘性回復の経時変化】
○【あわとり練太郎 ARE-310】
○【Glycerine/Flower=2/1 Strain sweep】
○【Glycerine/Flower=2/1 Frequency sweep】
○【Glycerine/Flower=2/1 Flow curves】
○【Glycerine/Flower=2/1 Step flow】
○【企業研究者としてのレオロジー測定方法】
○【ハンドクリームのLAOS初回】
○【ハンドクリームのLAOS最終】
○【ハンドクリームの初回と最終】
○【ハンドクリームの周波数分散】
○【ハンドクリームの流動曲線】
○【ハンドクリームのCox-Mertz】
○【ハンドクリームの等速昇降法】
○【マヨネーズの測定】
○【マヨネーズ LAOS初回】
○【マヨネーズ LAOS最終】
○【マヨネーズ 初回と最終】
○【マヨネーズの周波数分散】
○【マヨネーズの流動曲線】
○【マヨネーズのCox-Mertz】

8.新たな仮説、新たな装置
 【発泡性ポリプロピレンの伸長粘度】
 【伸長粘度と米パン】
 【流しソーメンとトムズ効果】
 【トムズ効果】
 【ジャンボシャボン玉】
 【筆の匠】
 【固体での長時間緩和例】
 【ER流体】
 【長時間緩和成分が物体を拘束する】
 【電場ピックアップ法】
 【装置概要】
 【測定原理】
 【電場ピックアップ検出信号】
 【シリコンオイルでの距離と時定数】
 【レオメーターでの粘度測定】
 【塗膜外観】
 【表面粒度波長と目視】
 【非接触三次元表面粗度計】
 【乾燥過程の塗膜表層形状】
 【表層粘度の結果】
 【Orchard 式での検算】
 【ころころ粘度計(EMS)】
 【ころころ粘度計試料】
 【ころころ粘度計測定】
 【ころころ粘度計の測定結果】

9.レオロジーで何がわかるか? 何を計ればいいか?
 【高分子成形加工をするなら】
 【高分子構造を知りたいなら】
 【分子の運動性を知りたいなら】
 【分散状態を知りたいなら】
 【ゲル化過程や状態変化が知りたいなら】
 【テクスチャーを知りたいなら】
 【これだけあればレオロジスト】
 【装置はフル装備で】
 【粘弾性の意味】
 【リサージュをチェックしよう!】
 【コンピューター処理に溺れない】
 【物性は特数値や数式の理解ではなくイメージとして把握する事】

10.研究の心構え
 【ふるき知恵の話(樹脂合成のボディ)】
 【ふるき知恵の話(アンコールワット)】
 【あたらしき知恵】
 【視点】
 【この領域でこそ生かされる】
 【ライト、ついていますか?】
 【右脳のはなし(想像する脳)】
 【守破離】
 【鉄腕 稲尾投手のお話】
 【ロボトミー手術(前頭葉切除手術)(prefrontal) lobotomy】
 【脳梁と男女】
 【勝負脳 表現知能ではない考える力】
 【人間の基本欲求 生きたい 仲間でいたい 知りたい】
 【脳は統一一貫性を好む】

11.おまけ
 【二匹のかえる】
 【どうしたら魚は餌を食べるか?】
 【蚤(ノミ)のサーカス クマンバチの羽】
 【F=f(α-β) 天才・秀才・凡人】
 【有能な企業戦士の共通点】
 



【参考:セミナー講演の項目】

<趣旨>
 レオロジーは数式が多く難しい数学で取っ付き難い、データはとったがどう見たらいいのか解らない。そんな、レオロジーをやってみたが敷居が高いというイメージを本講座を受けるととりあえず明日から気楽に取り組んでみようと思うための講座です。

1.レオロジーってなに?
 1-1.レオロジーの目的
 1-2.時間温度換算則
 1-3.煎断と引っ張り
 1-4.ニュートンの法則とフックの法則
 1-5.MaxwellとVoigt

2.静的粘度測定
 2-1.時間温度換算則
 2-2.E型粘度計で問題の半分はわかる
 2-3.流動曲線(ハーシャルバークレーとキャッソン)
 2-4.チクソトロピー測定
 2-5.塗料のたれとレベリング
 2-6.マヨネーズの降伏値
 2-7.ケチャップの粘度
 【演習】キャッソンプロットを描いてみよう

3.静的粘弾性測定
 3-1.引っぱり試験
 3-2.クリープと応力緩和

4.動的粘弾性測定
 4-1.動的測定の原理
 4-2.線形と非線形
 4-3.溶液レオメーターの測定
 4-4.固体動的粘弾性測定の測定
 4-5.合成波による周波数同時測定
 【演習】リサージュ図と線形、非線形を描こう

5.レオロジー測定の工夫
 5-1.塗料のレオロジー
 5-2.食品のレオロジー

6.レオロジーのプロになるために
 6-1.こんな場合はこんな測定を
 6-2.これだけあればあなたはレオロジスト
 6-3.測定の落とし穴

7 発想を広げるために
 7-1.ふるき知恵と新しき知恵
 7-2.右脳を活用する

8.おまけ
 8-1.二匹のかえる
 8-2.どうしたら魚は餌を食べるか?
 8-3.蚤のサーカスとクマンバチの羽
 8-4.天才・秀才・凡人
 8-5.有能な企業人とは